公開日
2023.04.10
ピーペック×在宅医療事務アウトソーシングサービス クラウドクリニック① 病気をもつ人の体験と思いを医療に生かす挑戦
ピーペックでは、2021年1月より在宅医療事務アウトソーシングサービスを提供している株式会社クラウドクリニック(以下、クラウドクリニック)と、病気をもつ方の就労支援の在り方を模索するため、協働しています。今回、ピーペックのメンバーでありながらクラウドクリニックへ一部出向のような形で業務を請け負っている齋藤真菜が聞き手として、両者の協働のあゆみを振り返りました。
グループトーク参加者:
株式会社クラウドクリニック
川島史子(代表取締役)
高岡麻由(コーポレート部)
向笠一華(クリニックオペレーション部)
竹牟礼紗英子(クリニックサクセス部)
一般社団法人ピーペック
宿野部武志(代表理事)
宿野部香緒里(事務局長)
齋藤真菜(事務局/株式会社クラウドクリニック出向中)
※上部画像左から齋藤、竹牟礼、川島、向笠、高岡、宿野部
齋藤真菜:ピーペックとクラウドクリニックが協働しようと思った理由や経緯はどのようなものでしたか?
宿野部武志:川島さんと共通の知人からご紹介いただき、Zoomで話したのが出会いのきっかけですね。
川島史子:クラウドクリニックのことをよく知っている方から、「絶対一緒に何かした方がいいよ」と言っていただきました。やろうとしていく方法は違っても、目指すものが同じだったら、一緒に何かできるんじゃないかと思いました。
齋藤真菜:そこから協働を始めて1年が経ちましたが、その後のお互いに変化はありますか?コロナ禍であることも踏まえて、ピーペックとクラウドクリニックそれぞれの働き方の変化もありましたか?
宿野部武志:ピーペックは、病気をもつ人と病気をもたない人が半々の割合で在籍していて、2019年に立ち上げた時から疾患を問わず、オンラインで、在宅ワークが前提で業務を行っています。
最初のビジョンが、「病気があっても大丈夫な社会をつくる」だったのですが、その後に病気をもつ人には世の中に新しい価値をもたらす力があると確信するようになり、現在は「どうしようもある、世の中へ」にビジョンを変えました。いかに病気をもつ人が働きやすい社会にするかは、当初から私たちの中心的なテーマではあったんですよね。
病気をもつ人が「ただ居て働く」ではなく、「どうやってしっかり成果を出していくか」を考えていた時に、 クラウドクリニックさんと出会って、色々なお話をしました。
私たちはクラウドクリニックさんのような「病気をもつ人が中心じゃない一般の企業の中で、病気をもつ人がどう働けるか」を実践し、考えていきたかったんです。
話し合いの中で、チームで仕事をする中に病気をもつ人が入ると、今までと違った工夫が必要だと私たちは学んだし、そこで出てきたトリセツ(※1)もまた一つの具体的な成果だと思います。 そして、トリセツは真菜さんだけではなくて、実は一緒に働く仲間みんなに必要だと考えるようにもなりました。ピーペックとしては就労支援、クラウドクリニックとしては企業の中での新しい文化、こうした相乗効果を出せたのかなと思っています。
川島史子:クラウドクリニックは、「在宅医療を支える医師を支えることが患者さんのためになるように」を目標に掲げていますが、この「患者さん」は、私たち自身かもしれないし、大好きな家族・友人かもしれません。
ピーペックの方々は患者さんとしての体験をされている方たちです。当事者が医療に関わって良いサービスを創るのは、すごく新しい取り組みだし、なかなかその視点を持ったサービスが医療業界に出来上がっていないので、一緒に取り組みたいと盛り上がった覚えがあります。
齋藤真菜:そうですよね。私も元々医療従事者で、途中で病気をもちました。医療従事者としての目線に、患者の目線が加わったことで、今までにない気づきが沢山ありました。その視点も人生の中でプラスにしたくて、それを仕事で活かしてみたいと転職をしてピーペックに入りました。私たちのような思いがある人と一緒に働きたいと言ってくださっているのは、自分にとってもすごく有難かったです。
川島史子:子育てや、結婚、仕事を辞めてブランクがあるとか、介護中や、色々な事情で働き方を見直す必要があるメンバーの支援を、仕組みとして考えたいと色々な取り組みをしていました。そういう意味では、真菜さんに入ってきてもらう時も、ピーペックさんがいてくれるんだったら、仕組みをもっとよくできると感じました。
ある意味、私たちは今の社会のマイノリティだと思っているので、「普通」に対して「普通ってなんだろう」という視点で、もう一度考え直す機会をいただけています。
トリセツもそうですし、長くやっていると新しい当たり前ができたり、良いことだけど、気を遣いすぎて出来なくなったことが増えていたタイミングでピーペックさんとの出会いがあって、私たちは改めて言語化しなきゃいけないことについて、すごくいい学びをたくさんもらえていると思います。
宿野部武志:私は起業する前はサラリーマンをしていたのですが、やっぱり病気をもつ立場は、医療を「受ける」とか「施される」っていう立場でずっと扱われてきていると感じていました。私は3歳から病院通いなので、そういう価値観の中で生きてきましたが、それが35歳くらいから「いや、そのあり方はおかしい」って思い始めて起業したんですよね。
在宅医療を支えているクラウドクリニックさんの中で病気をもつメンバーが働くということ自体が、これからの可能性があると思っています。現在、患者市民参画とかPPI(※2)などの言葉が出ていて、「病気をもつ人も医療に参画しましょう」と国を挙げて取り組もうとしていますが、 「ようやくだな」と思っているんですよね。
お薬を飲むリアルエンドユーザーは病気をもつ人なので、その人たちの声をもっと医療に取り入れる方が、治療効果が上がったりして、医療者にとっても幸せなことだと思うんです。そういう意味では、僕は「三方良し」的なこと言っています。
まさに医療に関わっているクラウドクリニックさんと働くことで、「病気をもつ人の体験と思いを医療に活かす」というような可能性を今、感じています。
川島史子:私と宿野部さんが熱く語り出すと止まらなくなります。(笑)
宿野部武志:川島さんと話すと徹夜になっちゃう。(笑)
これまでの「普通」や「当たり前」をもう一度考え直すことが、「みんなが働きやすい環境」をつくる上で重要な機会になると思います。病気をもつ人も、病気をもちながら「どうやってしっかり成果を出していくか」を意識しながら働くことが出来るよう、この協働から考えていきます。
次回は「病気をもつ人が生んだシナジー効果:当たり前を言語化し、心理的安全性の高い場を作るコミュニケーション」をご紹介します。
(※1)トリセツ…病気や働く上で伝えておきたいこと、理解しておいてほしいことなどをシート上にまとめた取扱説明書
(※2) 医学研究・臨床試験における患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)
参考資料:第3回就労支援ウェブセミナー 病気をもつ人のワークスタイルを考える(アーカイブ動画がご覧いただけます。