公開日
2025.07.31
【開催報告】「病気をもつ人と考える『やさしい食と空間』試食&体験イベント」を開催しました。
2025年7月9日(水)、三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド様のご協力のもと、病院と連携する同ホテルでの食と空間の体験イベントを開催しました。
当イベントは、病気や困りごとがあっても食事が楽しめる世の中を目指して情報発信をしている「一緒にいただきますプロジェクト」が主催し、病気をもつ人、支援者、医療・福祉関係者など、10名の方にご参加いただきました。
イベントの様子を、
(1)ホテルの施設見学 (2)ランチ体験 (3)座談会 の3つのプログラムごとにご報告します。
(1)ホテルの施設見学
ホテルのスタッフの方に案内いただきながら、シングルからファミリー向けまで、さまざまな広さの客室を見学しました。
オストメイト対応の便器や角に丸みをもたせたテーブル、車椅子でも通りやすい広い入口、全客室に常設の体重計やプルトップオープナーなど、一般的なホテルとは異なる細やかな工夫に、誰もが安心して快適に過ごせるための配慮が現れていました。
また、姿勢を調整するためのクッションやウィッグ用スタンドなど、貸出備品も充実しており、ゲストの多様なニーズに対応できる体制が整っています。
ホテル内には24時間自由に使えるラウンジがあり、ケアスタッフが常駐しているのも特徴のひとつです。
参加者からは、「フックや、すべり止め用のマットの貸し出し、困りごとに伴うリクエストを受けいれて、ニーズを拾い対応できることを考えてくれる姿勢が感じられました」「ラウンジがコミュニケーションの重要な場所となっていて、新たなニーズが出てくるきっかけになってると感じました」という感想があがりました。




(2)ランチ体験
ホテル1階のレストラン「丁字屋 KASHIWA-NO-HA」にて、がんをもつ方向けの特別メニューを実食しました。
3種の前菜、主菜、白米、味噌汁、デザートで構成された、コース料理です。
創作フレンチでありながら、素材の味や出汁が活きた優しい味の料理でした。
参加者からは、「食物繊維が強い生野菜でも薄くスライスされていて、消化しやすい調理方法をされていたので、細かいところまで配慮がされているように思いました」「のどごしのよいスープ、 食感の変化など、食が進みにくい患者も食べやすいと感じました。 盛りつけも美しく小わけで、見た目からも、食欲がわくと思います」など、調理方法や盛りつけへの気づきが多く挙がりました。また、氷無しのお水を出していただいたことも薬が飲みやすいと好評でした。




料理長の田原さんからは、管理栄養士や看護師の協力を受けたメニュー作りや、地元の野菜を活かした調理法、日々のサービスの工夫などを伺いました。
以前は洋食レストランで働いていたという田原さんは、刻み食や制限食などの特別な食事ニーズへの対応について、「(作り手の)思いとしては、普通のレストランのお客様と何も変わらず、自分ができることをやるだけ」と話されていました。
(3)座談会
最後に、ホテル関係者も交え、「みんなの声から見つける “やさしい食と空間”」をテーマとした座談会を行いました。
病気をもつ人が旅行や外食をする際の食事管理の難しさや、外食施設で体験した困りごとなどが、共感や驚きを伴いながら共有されました。また、ホテルでの体験を踏まえて、細やかな配慮のありがたさや、多様なニーズを知るための対話の必要性などが語られました。
参加者からは、「違う病気の困りごとをあらためて知ることができたのもよかったです」「ホスピタリティは対話だという話にとても共感しました。 色々な立場を越えて、つながりを持っていくことが相互理解につながると思いました」といった感想が寄せられ、実り多い座談会となりました。


今回のイベントは、病気やさまざまな困りごとがある方々が、外食や旅行を安心して楽しめる社会の実現に向けた貴重な一歩となりました。
料理長の田原さんのお話から、「相手への思いやり」のシンプルさに改めて気付かされたという声もあがりました。病気をもつ方に対しても、そうでない方に対しても、根底にあるのは同じ「思いやる気持ち」です。PPI(患者市民参画)や合理的配慮というとつい身構えたり複雑に考えがちですが、このシンプルな思いやりを大切にし、こうした対話や共創の場を通じて「やさしい食と空間」が広がるよう、「一緒にいただきますプロジェクト」は活動を続けていきます。
※この企画は、一般社団法人欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)の第7回PASE AWARDの助成を受け、開催されました。