公開日
2026.08.18
「医療と社会」にて特集論文が掲載されました
公益財団法人 医療科学研究所が刊行する学術論文誌「医療と社会」にて、宿野部武志、池崎悠が執筆した特集論文が掲載されました。
「私たちの『こえ』でつくるこれからのPPI 病気をもつ当事者から見る日本におけるPPIの到達点と展望」と題し、慢性腎不全当事者として長年にわたりPatient and Public Involvement(PPI)を実践してきた代表理事、宿野部武志の経験をもとに、日本におけるPPI推進に内在する課題と価値を分析し、今後の展望を提示しています。
幼少期から腎臓病をもつ当事者としての個人的な背景から、医療のパターナリズム、そして当事者と企業間のコミュニケーションの壁に直面した経緯を紹介。この課題意識を起点に、病気をもつ人々の「こえ」と経験をライフサイエンス業界や医療現場に届けるため、ペイシェントフッド、一般社団法人ピーペックの設立、PPIのすそ野を広げる「みんなでつくろう、これからの医療プロジェクト」の実施等の軌跡と具体的な実践例を示しています。
続いて、池崎が、これらの実践経験を基に構造的課題を分析しています。課題は主に、規制と文化による信頼関係の構築の阻害、当事者の経験知がもたらす価値の定義、当事者のこえの代表性を求める議論、そして形式主義の4つに分けて論じています。
実践経験から得られたPPIの本質的価値としては、①信頼関係を基盤としたプロセス重視と戦略的な非効率性の受容、②病の経験を再解釈し主体性を回復させるエンパワメント、③政策決定や医学研究の質向上への寄与、④そして当事者主体のコミュニティによるPPI民主化へのアプローチの4つを示しています。
最後に、PPIを特定の専門家や組織に限定せず、民主化させるための方向性を提示しました。PPIは、立場や意見の違いすら楽しむ創造的な学びと対話の場であると私たちは考えています。
論文はフリーアクセスでどなたでもご覧いただけます。他の特集論文も、様々な角度から患者市民参画について論じられていますので、ぜひご覧ください。