公開日
2026.06.08
第2回テンポ経営研究会開催レポート 「個のテンポが活きる職場づくり ~誰もが自分らしく働ける『場所』をどうデザインするか?~」
2026年5月22日、第2回テンポ経営研究会「個のテンポが活きる職場づくり ~誰もが自分らしく働ける『場所』をどうデザインするか?~」を開催しました。 ※本イベントは公益財団法人 洲崎福祉財団助成事業(令和6年度継続助成)を受けて実施しました。
前回の第1回研究会では、「制度」と「風土(文化)」の両面から、組織の中で「制度は整えたけれど、現場が回らない」という違和感を捉え直し、誰もが違うことを前提とする「全員例外」というテンポ経営®の核となる発想を共有しました。それに続く今回は、会場・オンラインあわせ計21名の方々にご参加いただきました 。今回は、多様な人が自分らしく輝ける具体的な「場所(環境)」のデザインについて、新たな選択肢や最新の調査データをもとに深める時間となりました。
福祉ではなくビジネスとして。「ソーシャルファーム」が示す可能性
オープニングトークでは、公益財団法人東京しごと財団の影山 晃子氏をお迎えし、「多様な人が活躍する職場づくり~ソーシャルファームという新しい選択肢~」をテーマにお話しいただきました。
「働きたいけれど、様々な事情から就労が困難である」そんなもやもやを抱える人々に対し、福祉的に支援するのではなく、「ビジネスとして成立させながら、誰もが共に働ける場」を創り出していく仕組みが、東京都の認証する「ソーシャルファーム」です。
障害の有無だけでなく、ひとり親や介護者、ひきこもり経験者など、多様な社会的背景をもつ人々が、それぞれの事情に応じた柔軟な働き方やシフト環境の中で活躍している実際の雇用事例が紹介されました。属性だけで一括りにせず、一人ひとりの事情を「個別具体的」に捉えて環境を整えるプロセスは、まさにテンポ経営が目指す「個々の違いをそのまま肯定する組織づくり」とも深く共通しており、参加者が自社や地域の現場を捉え直す大きなヒントとなる時間でした。
これからの「価値創造モデル」をデザインする
続くトークセッションでは、東京しごと財団の影山氏と、一般社団法人ピーペック代表理事の宿野部 武志が登壇し、具体的なデザインのあり方についてさらに議論を深めました。
セッション内では、ピーペックが2026年2月に実施した最新の「病気とワークエンゲージメントに関する調査」のデータが公開されました。通院を要する難治性疾患(難病)をもつ就労者と、もたない就労者、計1,093名を対象としたこの調査からは、現在の日本の職場が抱えるリアルな課題が可視化されました。
特に印象的だったのは、難治性疾患をもつ人の約4割が「会社から具体的な配慮を受けられていない」と感じていることが明らかになったことです。また、難治性疾患をもつ人のうち約16%は病気を伝えずに働いている現状が浮き彫りとなり、病気の開示による不利益等の不安があることが示唆されました。一方、難治性疾患をもつ人ともたない人のワークエンゲージメントを比較したデータにおいては、いくつか、難治性疾患をもつ人の方が高いスコアとなっている項目もあり、難治性疾患をもつ人のワークエンゲージメントを活かすという視点も示唆されました。
疾患による制約を補うという従来の支援モデルに留まるのではなく、それぞれの内にある情熱や力を、どのように組織の価値創造モデルへとつなげていくのか。データから見えてきたリアルな課題に対して、企業や私たちがどう向き合い、しなやかで持続可能な組織へとデザインしていくべきか、対話が繰り広げられました。
次回の開催は本年の夏以降を予定しています。これからも皆様と共に、実践と学びを持ち寄りながら、個のテンポが活きる社会の形を考えていければ幸いです。
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