公開日
2023.04.17
ピーペック×在宅医療事務アウトソーシングサービス クラウドクリニック④ コロナ禍がもたらしたコミュニケーションの新時代 障害者雇用にとらわれない就労支援を
第4回の今回は、リモートワークが病気をもつ人にもたらした変化と、企業の意識改革の必要性、障害者雇用の枠にとらわれない、様々な働きづらさを抱える人が働ける社会に必要なことについて語りました。
宿野部武志:クラウドクリニックさんと就労のセミナーを一緒にやると「ピーペックやクラウドクリニックさんで働くにはどうすればいいですか」と必ず連絡が来ていたんですよね。
川島史子:有難いことですね。
宿野部武志:だから、この記事が出たらまた来ると思うんですけど。(笑)
川島史子:そうですね。受け入れられるように頑張らなければいけないですね。医療業界に民間のこういった企業や社団法人がどういうアプローチができるのか、私たちがしなければいけないチャレンジはまだまだあると思っています。
宿野部武志:患者市民参画も3、4年前にAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)からPPI(Patient Public Involvement:患者市民参画)のガイドブック(※1)を出したことで、製薬企業が動き出したんですよね。
そこから一気に企業から講演や研修の依頼が増えてきていますが、まだまだ途上だと感じています。
ライフサイエンス業界の人は、病気をもつ人と会ったり、話したりする機会がほぼ無い中で、医師から話を聞いて薬をつくっていたんですね。
「患者さんのために」「病気で苦しむ方のために」というビジョン・ミッションに心動かされて入社したはずなのに、当事者とリアルに会わないで、ただ向き合うのは数字とか試験管とかビーカーとか、そういうものばかりになってしまうんですよね。
病気をもつ人と話すことは別にコンプライアンスの問題はないんです。今後ますます病気をもつ人が医療に携わっていく中で、そのノウハウを一般企業に拡げていき、就労支援としてもやっていきたいですね。
宿野部香緒里:難治性の病気をおもちで病気のことを会社に言わない方が未だに多いんです。薬や治療で症状や進行をコントロールできていると特にそうだと思います。自分が病気だと言ってしまうと雇ってもらえないので、入社して、そのまま(病気のことを)言えずにいて。
だけど、時々悪化して長期間休まなければいけなかったり、通院で休みが多かったりして、「なんかあの人通院が多くない?」と言われてしまう心苦しさを抱えていたり。そういうこともなくなって、もっと病気の有無による差が無い世の中になってほしいなと思います。
向笠一華:リモートワークでは「お互いに見えづらい」ということがデメリットにはなりますが、それが状況によっては、例えば体調によって楽な姿勢で業務ができたり、メリットになるということもありますよね。また、リモートワークで同じ空間にいないことでコミュニケーションの壁というのを多少なりともみんな実感したと思うんですが、それによってコミュニケーションの仕方や頻度について、ちょっと気を付けていかなければいけないという意識もできましたよね。病気の有無に関わらず、そういう下地ができたから、一気に多様性をみんなが実感し、身近に感じる機会が今、来たんだなと思います。
川島史子:在宅ワークやリモートワークができるITと、そういった世の中の風土ができたことがすごく大きいですよね。
宿野部香緒里:コロナ禍で唯一くらいの良かったことですよね。真菜さんも最初そうだったよね。
齋藤真菜:「どうしたらいいですか?」ってよく相談していましたね。
宿野部香緒里:「新しい椅子買った方がいいですよね」って。環境を整えるのは大事だよね。
竹牟礼紗英子:私も最初テーブルと椅子を買いました。
宿野部香緒里:パソコンの前に座ってる時間がとにかく長くなるから、環境をいかに良くするかはすごく大事ですよね。
川島史子:「家で働くのがちょっと…」って言っていたメンバーたちも、一度家で働くことを味わって働きやすさがわかると、「メイクしなくていいな」とか言っています。「今日顔出しNGでお願いします」って。(笑)
病気をもっていようが、子育て中だろうが、そういう働き方が当たり前になっていくというのは面白いなと思いますね。これから更に変わっていくだろうなと。
宿野部武志:そうですよね。ピーペックでのワークスタイルには、ソニー時代(14年間勤務し2006年に退社)の反省があるんです。月間フレックスとか裁量労働制が生まれたくらいの時代なんですが、当時月間フレックスでも9時30分までに出勤しないといけなかったんですよね。カードリーダーで打刻するんですが、9時29分までに通さなければいけなくて、その時間近くになるとみんな走ってくるんですよ。
私は労務にいたので、守衛所で見張って取り締まっていたのですが、そういう役割をやって、1分2分のことを仕事にしていた私って何なのかなって思っているんです。
今は夜中でもSlackとかでメッセージを書く人もいるし、その方がやりやすいっていう人もいるんですよね。会社にいたときは、オンラインでテレビ会議すると言ったらもう職場の一大事でした。それが今は当たり前に「じゃあ今からZoomで」なんていう世界になって、こんなに働きやすい時代はないと思うんですよね。
あとは企業の意識改革が重要だと思うんです。一定の雇用率が義務付けられている障害者雇用と、その枠に入れない人がいて、障害者手帳の有無で就労の状態が全然変わってくるんですよね。手帳が無くても色々な働き方があることはもっと伝えていきたいし、経営者の意識も変えないといけないと思っています。
社労士さんと話をするのですが、やっぱり「経営者が決断しないと、病気をもつ人が働くというのは進まない」と聞いたのが印象に残っています。中長期的なメリットを考えず、目先のとにかく今、働ける人を雇用する経営者が多いのではないかと考えています。私たちのノウハウを社会に伝えながら、経営者の意識も変えていきたいですね。
コロナ禍で導入が増えてきたリモートワークが、病気をもつ人やこれまで働きづらさを抱えていた人にとってはメリットに働くことが多いと実感しています。多様な働き方を生み出すことにより、雇用の枠が広がり、「みんなが働きやすい社会」に繋がっていくと考えられます。
次回は「場所や時間にとらわれない新しい時代の働き方を実践していく」をご紹介します。