公開日
2022.06.17
白井康太さん×宿野部武志 「どうしようもある世の中へ」誕生秘話
私たちピーペックは、2022年1月にビジョンを「どうしようもある世の中へ」と再定義し、ウェブサイトをリニューアルしました。リニューアルに際し、株式会社枠・PRプランナーの白井康太さんに多岐にわたるプロジェクトの整理、事業コンセプトの見直しに伴走していただきました。
ピーペックのあり方や、今後の活動についての話はもちろん、二人が実現したい社会はどのようなものか? ピーペックは業界のアベンジャーズになれる!? 熱い議論が展開されました。ぜひご覧ください!
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白井康太氏
1988年5月30日生まれ。立命館大学理工学部都市システム工学科卒業。2012年、株式会社ニトリに入社し、新店舗立ち上げや現場マネジメント業務に従事する。2015年に株式会社ニトリを退職。公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会のPRプランナーを取得し、フリーランスのPRプランナーとして企業広報やPR業務を請け負う。2016年、取締役の一人として株式会社まめを創業し、企業の広報/PR代行業務を行う。2020年に株式会社まめを退職し、2021年に株式会社枠を創業。
白井さんとの協働のきっかけ
―――白井さんとピーペック協働の経緯を教えてください。
宿野部武志:ピーペックの立ち上げから3年目の2021年、もっと自分たちの活動をPRしていく必要性を感じていました。ピーペックのアドバイザーでもある成澤俊輔さんからご紹介いただいたのが最初です。
白井康太:当初は広報やプロジェクトの整理をしましょうという話でしたが、協働にあたりウェブサイトを拝見し、宿野部さんの思いとウェブサイトの構成がとても離れているわけではないが、損している気がして。もっと伝えるべきメッセージがあるのではと思い、ウェブサイトのリニューアルの提案をしました。
宿野部:それがちょうど1年前くらいですね。本当にあっという間です。最初のお話からすぐに他のメンバーも参加し、リニューアルに向けて動き始めました。2022年1月にはリニューアルが完了し、今は新しいウェブサイトを通し、私たちの活動をどのように社会に伝えていくかを白井さんと一緒に考えています。

ウェブサイトは第二の社屋
―――リニューアルしたウェブサイトについて、詳しく教えてください。
白井:僕たちの会社のサービスの特徴にもなりますが、ウェブサイトをつくること自体はあまり目的ではなく、極論、あってもなくてもいいものだと考えています。ただ、ウェブサイトは第二の社屋であり、それを作っていくことを通して言葉の整理をしたり、何を情報発信するかの整理をしたりすることができます。社屋ができた次のフェーズとして、どうやって、何を、誰に伝えていくかを今一緒に考えているところですね。
宿野部:私も、ウェブサイトをつくること自体も大事ですが、作る過程、作って継続していく過程で、メンバーとやり取りする過程こそが大事だったと思っています。家を建てたとも言えますね。例えば、最初土台をつくるのにどんなしっかりした土台にするか、どんな素材にするか、何色にするか? そういったことを皆で話し合えた重要な機会でした。
白井:家を建てているという感覚は共有していました。僕は建築士のようなものでしょうか。そして宿野部さんはずっと僕の方針を信頼してくれていました。
当事者の間で伝わる言葉と、もっと広く伝える言葉
―――ピーペックとの協働を通し、他に気づいたことはありますか?
白井:ピーペックとの協働を通し、ときにファシリテーションにおいて立場の調整をする必要性を学びました。ピーペックにおいては病気をもつ「当事者」がマジョリティです。通常の社会においては逆ですよね。非当事者と当事者で、当事者の割合が多い会議をファシリテートするという、他ではあまりないバランスがとても難しく、興味深かったです。この独自のバランスは、例えるなら、ひとつの自治体の会議を任せられている感覚でした。
宿野部:当事者と非当事者という観点でお話すると、私は外部の人に入ってもらって、外から見たピーペックを常に意識しなければならないと思っています。病気をもつ人には共通する課題や想いがありますが、それ以外の病気をもたない人含めた社会全体に私たちの課題や想いを知ってもらわないと、本当の意味での世の中の理解は進みません。今まで縁がなかった人に、どのように見えているのか意識することは重要かつ必要です。そういった意味で、白井さんから見えるピーペックを率直に語ってもらうのは、とても意義があります。
白井:初回の打ち合わせで、確認した重要な部分ですね。だからこそ、ピーペックの前のウェブサイトを見たときに違和感があったのだと思います。病気をもつ人には力があると表現されていましたが、伝えたい部分はもっと他の言葉があるのではと思いました。その答えをparks(今回のウェブサイト制作チーム内のコピーライター事務所)さんに見つけ出してもらい、病気をもつ人の「こえ」に力があると表現できました。「こえ」に力があると言えることで、様々な立場・属性の人に説明しやすくなったと感じています。
誰かの絶望や不安を希望に変える「どうしようもある会議」
―――ピーペックとして、今後取り組みたいことを教えてください。
宿野部:ピーペックの新しいビジョンは、「どうしようもある世の中へ」です。せっかくこのビジョンにしたのだから、「どうしようもある会議」をしたいです。病気をもつ人は、病気の症状や制度上の理由により、あきらめていることや変えられないと思っていることがたくさんあります。そういった「どうしようもない」中に、「どうしようもある」を見つけるような、フランクに、日常的にそうした話ができる機会があればいいなと思っています。こうした場を通し、誰かの絶望や不安を、希望に変えていきたいですね。
―――白井さんがピーペックに期待していることをお聞かせください。
白井:実は僕の人生のミッションは、「選択肢をもうひとつつくる」なんです。だから、ミッションの「どうしようもある」の議論をしているとき、すごく僕らしくて共感できるなと思っていました。
印象に残っているエピソードがありまして。ピーペックのメンバーの齋藤さんが、サッカー観戦が好きで色々なスタジアムに行ったけれど、坂や階段などの障壁でたどり着けない場所もあったという話と、大場さんの、酸素ボンベのマジックテープがストッキングを伝線させてしまうという話。
ピーペックがこうした「こえ」を発信することで、世の中の「どうしようもない」を「どうしようもある」、0から1に変えることができます。
ピーペックが「こえ」を発信する方法に共感しているし、うちの会社も同じようなことをしていかなければと思いました。「どうしようもある会議」一緒にやっていきたいですね。
宿野部:先ほどの白井さんの「選択肢を増やす」ことは、病気をもつ人の頼る先、依存先を増やすことにもつながると思います。一人で諦めている人が、本当に多いのが現状です。インターネットではつながるけれど、顔が見えないから深くつながることはない人も多い。そこをピーペックがハブとなり、ピーペックだったら安心できるね、繋がれるねと言えるようにしたいです。物理的なハブとしてももちろんですが、心理的な面でのハブの機能も大事にしたいです。様々な取り組みをしていますが、この「ハブ」の機能は活動の肝です。
ピーペックは、「こえ」を届ける圧倒的な存在になれる
―――白井さんから見た「ピーペック」像を改めて教えてください。

白井:社会はこれまで、多くのアイデアマンによって変革してきています。ピーペックは、そうした人たちの集団だとPRができたら、病気というフィールドでのエジソンが来てくれるだろうし、今のメンバーがそうなってもいい。それを一緒に夢見ていますね。
宿野部:ヘルスケアの分野で「イノベーション」がキーワードになっています。先ほどの「どうしようもある会議」もそうですが、ピーペックの取り組みで、病気をもつ人もイノベーターになれるんです。アカデミアとも連携して、研究的な側面からもイノベーションを促進したいですね。
私たち病気をもつ人たちが、困りごとを抱えて生きている、問題意識を抱えて生活しているその中に、イノベーターになれる価値がある。まだ「こえ」を発信していないだけなんです。まさに「こえ」を集積するということ、それを具現化し、実際のプロダクト開発まで広げることも、将来はやっていきたいです。
白井:ピーペックは、患者会の運営支援をしたり、病気をもつ人の「こえ」を集めたり、一見ボトムアップ型の会社と思われますが、その業界においての圧倒的な存在になれるんじゃないかと思っています。
―――そのために、ピーペックとしてもっと発信したいことはありますか?
宿野部:病気をもつ人と聞くと、医療分野での活動や課題解決がまず思い浮かぶかと思います。しかし、病気をもつ人は、治療のためだけに生きているわけではありません。医療以外の分野にも万遍なく「こえ」を届ける必要があります。
先日、メンバーの矢口の家に行きましたが、働くことの意義を考えさせられました。彼は病気があって、地域で24時間介護を受けながら、指先5センチだけで仕事をしています。座位でも、寝ながらでも仕事ができるスペースも作っています。起き上がってもできる仕事場もありますし、マウスのカスタマイズなども本当に精巧に調整されています。
子供の頃から病気という点は私と同じですが、彼の状態で仕事のスタイルを自分で生み出しているのはすごいし、学ぶべきことは多いです。
病気をもたないメンバーももちろんいて、それぞれとても精力的にピーペックに関わってくれています。そうしたメンバーの想いなども発信していきたいですね。
もっと多くの人が入りやすくなるきっかけづくりを
―――これからのピーペックについて、どう考えていますか?
白井:将来的には社会にインパクトのある発信もしていきたいですね。今は、メンバーが感じている課題感や普遍的な思いなどを当事者に向けて発信をしている段階です。
一方で、そもそも最初に相談されたこと、「もっと世の中の大多数の人に病気をもつ人たちの価値を伝えたい」のオーダーには答えられていないんです。そのためには、一般の人が、もっと入りやすくなるような、ポジティブなきっかけが必要ではないかと考えています。
宿野部:しかし、 病気をもつ人たちの「こえ」は、必ずその企業、社会に価値をもたらします。今後幅広い分野の企業との協働を通し、それを理解してもらいたいと思います。
白井:「こえ」はつまりアイデアなんですよね。「できないこと」「あきらめ」から工夫が生まれます。その点、ピーペックには、アイデアが生まれやすい土壌があります。そこがピーペック一番の個性なのではないかと思いますね。